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ウェーレス対魔神機動隊/tales - ギルドシティ・ウェンリッド

ウェーレス対魔神機動隊/tales

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tales-1『諜報班』


「…っ、ぁ、はぁ、はぁ…!嫌だ、こんな所で死ぬのは嫌だ…!」
 魔神領の戦場から逃げる。もう活動を続行できないほどに壊滅した"諜報班"達は生還を試みる。
 その際ああ呟いた隊員は肩を抉られて傷を負っているが、辛うじて動ける体力は残っていた。死に体の隊員を背負って機動隊へ帰還しようと足掻く。
 魔神領となった戦場の偵察に結成した諜報部隊は6人。斥候(スカウト)の技術に長けた隊員5人、うち野伏(レンジャー)の心得がある隊員2人…と決死隊から1人。
 慮外の事態により魔神の集団に気づかれ、止むなく交戦した際に決死隊が死に、野伏の心得がある隊員も死んだ。魔神の集団に打ち勝ったものの更に隊員1人が瀕死の重体になり、魔神領から逃げなければいずれ全滅すると判断した隊員2人はそれぞれ負傷者と死者1人を担いで戦場を去る。
「…、ごめん、帰してやれなくてごめん…!」
 運べなかった決死隊と隊員1名の遺体は回収できなかった。決死隊はルーンフォークであるため魔神に弄ばれなければ蘇生が望めるが、もう一人の遺体は放っておけば腐った果てにアンデッドになるだろう。
 
 隠密に務める彼らのために前線拠点を建てることはできない。帰るべきは人族領の戦場に点在する彼らの前線拠点。機動隊本部までは数kmある道を治療なしに歩き続けてはいずれ力尽きる為、残った死力の限りを尽くして生き足掻く。
 
「ーーごひゅッ」
「…!?」
 担がれている死に体の隊員が血を溢した。ぼたぼたと担いでいた隊員の服と土を濡らし、こひゅー、こひゅーという声を漏らす。
「おい、こいつももうすぐ死にそうだぞ!どうすればいい、俺にはどう治療すればいいか…!」
「応急処置ができる隊員は皆死んじまってる…!くそっ、嫌だ、これ以上看取るのは嫌だ!」
 残った二人に今際の際にいる隊員に適切な応急処置が行える技術はなかった。止血の術は知っている。傷を開かない担ぎ方も学んでいる。しかし斥候の専門外である救命の術まではなかった。しかし今にも命が終えそうな同胞を見捨てられる彼らではなかった。一度物陰に身を隠して瀕死の隊員を降ろし、救命を試みる。
 
 死ぬな死ぬなと意識半ばの者に声をかけ続けても、貫かれた肺を癒す術がなくてはそれも虚しく10分後にはその隊員も息を引き取った。
「………」
「………っ」
 残ったのは2人だけとなった。黙々と遺体袋に詰めて担ぎ直し、前線拠点を目指す。
「…生きて帰ろう」
「……ああ」
 それからは寡黙だった。魔神領の偵察に向かった末にその何割かは帰れないと云われている諜報班の彼らは、それでもそれらの犠牲に報いるために情報を持ち帰ろうと、生きようと必死だった。

 なお、この2人もある前線拠点から数百m先にて、死体として見つかった。

登場部隊:
“諜報班"
"決死隊"
 

tales-2『回収班』 ※残酷な描写


大規模戦闘が行われた後、実戦部隊が回収しきれない遺体と戦利品が転がっていると"彼ら"に出動要請がかかる。
「今回報告に上がった死者は確認できる範囲で6名。作戦出動部隊3つのうち全滅した部隊が1つとの事だから、20は見積もるべきだろう。各員捜索及び回収作業に当たれ」
「「はっ!」」

回収班の一つ、回収部隊6班隊長の指示出しの下、隊員が散開したね。
戦後処理で戦闘行動をある程度は想定しないで済む分、隊員の活動範囲を広げられるんだろう。
見つけた隊員の遺体を袋に詰め、回収班の駆動拠点に収容してはまた遺体探しを続ける。

「うえー…こっちの隊員身体が内側からひっくり返されてますよ。骨と内臓がモロに見えて…うげえ…」
その度に、弄ばれた隊員の様相に誰か一人は不快を零しているだろう。
転がっている人族の遺体の大半は、魔神に目をつけられれば玩具のように扱われるから。
魔神の知的好奇心や人族の遊びの真似事に使われた亡骸が、人の形を保てているのは幸運なことだから。
「お前ここに配属されてもう半年だろ、そろそろ慣れとけ。魔神は気が向いたら何でもするぞ」
「でもパイセンあの時吐いてたじゃないですか」
作業も規模が大きいほど時間がかかり、雑談を交えないと時間が長く感じるのだろう。
そこで二人は仲間の遺体を詰めながら、前の仕事の話をしているね。
「結構一緒に酒飲んでた友達の腑で縄跳びの真似事されてた痕は流石に効…うぇっ、思い出させんなバカ」
「それでもなんとか蘇生できてたし、本当に酷い時は人体かもわからないぐらいに弄ばれてますし」
「ああ…この前の第17戦線の救出戦は酷かったな。かき集めた隊員の死体を握り固めて2mくらいのミートボールにしてたんだった。
どう見ても実戦部隊で回収できるモンじゃないってことで呼ばれたよな俺達」
「だろうなとは思ってましたけど、肉団子にされた時に全身の骨と骨がバキバキに砕かれて混ざってたから結局誰一人として蘇生できなかったんですよね」
「暫く大好きだったつくね串が食えなかったなぁ…」

回収作業を始めて3時間後、戦利品の回収も済み、彼らの拠点の倉庫は26人の亡骸が積み上がった。
「隊長、こっちの遺体の回収は終わりました。これで全部回収できましたかね?」
「今回は平地、見落としもないだろう。引き上げて夕飯までには間に合わせるぞ」
「はーい、今回はレブナントになった隊員はいなかったな、ラッキーラッキー」
「隊長隊長、今日の夕飯何にするんですか!また隊長が作ってくれるんですか?」
「今日はそいつの好物のつくね鍋だ」
「お!ありがとうございます、好物の話してたら食べたくなったんですよね」
「わー!私も勿論いっぱい食べます!肉団子は大きいの頼みますね!」

肉や汚物の腐った匂いを沢山嗅いだにも関わらず、もう彼らは遺体を積みながら今晩のご飯に想像を膨らませているね。
初めは見ただけで暫く食べ物が喉を通らなかった彼らは、良く見れば慣れたの言えるのだけど。
悪く見れば、隊員の凄惨な姿に心が動かなくなったのだろう。

壊れてしまった、とも言えるだろうね。

登場部隊:
“回収班/回収部隊6班"
 

製作者:お揚げさん