容姿・経歴・その他メモ

ウェーレス対魔神機動隊の第一前線部隊に所属する女性隊員。
元は人魔間の戦争で親を亡くし、とある孤児院に拾われた戦災孤児だった。
しかし、彼女を拾った孤児院の院長は大の御人好しで、その気質が昂じる余り院そのものが厳しい経営難に陥ってしまう。
院の崩壊を由としなかったロスカは、拾われた恩を返し、同時に自分より幼い孤児を守るため、志を同じくした三人の友人たちとともに僅か八歳にして院を離れ、機動隊へと志願した。

「……あの時点で、院からの脱退は最も素晴らしい選択だったと思います」
「はじまりは、スープの肉が減ったことでした。続いて、ひとつのパンを二人で分けるよう言われました」
「私たちだって、勿論それに不満はあったけれど──誰よりも苦しそうな院長の顔を見て、尚も言葉にはできませんでした」
「彼女は御人好しで、院の経営難はまさにそれが原因で……でも、私たちはその優しさに救われた命であるわけですから」
「思い詰めた院長は、いっそ自らが罪を犯してでも私達を養おうとしていたのではないか、と今になっては思います」
「そんな時でした。ロシェ……ああ、私と同い年だった少年です。彼が、"機動隊が同志を募っている"という話をしたのは」

「……私たちは、自分に酔っていたんです」
「"自己を犠牲にして他者を守った。苦しみを受け入れた私たちを、神は見放したりしない"と、そう考えて──」
「愚かでした」

彼女らは孤児院存続のため、出来る限り多くの仕送りをするためと率先して危険な戦線に立候補し続けたが……。
その結果、共に孤児院を出た三人のうち二人は、半年もしない内に魔神との戦いで命を落とし、蘇生も不可能だった。

「ベースに帰還してきた二人の遺体は、ひどく損壊していました」
「恐らくは、魔神たちが徒に弄んだのでしょう。もはや、屍人(アンデッド)化を伴わない蘇生は不可能でした」

彼女自身もまた、二度の死を経験する。
幸か不幸か、主戦場とした第18戦線には高位の森羅導師が存在し、【プラントリグロウ】による穢れなき蘇生が可能だった。
死と再生。闘争と敗走の繰り返し。終わらない戦いの最中、残酷な戦場を幾たびも経験し、心を摩耗させていった。

「……多くを殺し、それよりも多くが死にました」
「…私は。……、どうして。救えなかった、誰も、誰も、誰も、救い出せはしなかった」
「私たちは、誰のために戦っているのでしょうか。顔も知らない未来の誰かを救うために、見知った顔が潰れてゆく……」
「──教えて下さい……誰か……」

そして現在に至る。
『兵器としての戦術的価値』を考慮し、"部分的に有用"と認められたロスカだったが、
その彼女が極限の精神状態を理由に戦線復帰が不可となる可能性を加味し、療養として半ば強制的にこの街へと送られてきた。

「…………」
「ここは住みやすい場所です。私たちが護っていたのは、きっとこういう世界だった」
「……でも、だからこそ。そんな世界に、私たちの居場所はない」
「あの戦場だけが、私たちを受け入れてくれる。冷たき死と生温い血潮だけが、私たちを肯定する……」
「死んでいった、そして今も死にゆく仲間たちの下に、私は早く帰らなければなりません」

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