コンセプトは『諦観』
夢は叶わない。あきらめきれないけど、叶わないことを知っている。
だからせめて、武器を、防具を、皆のもとに届けられたら……そう自分に言い訳をして、今日も剣を振う。

基本的に起きた悲劇は受け止める。仕方ないと。でも、それを諦めない人、悲しむ人を一人にしたくない。
孤独が一番つらいとわかっているからこそ、明るく振舞い、一人の人の元へ行く。

基本的に闇を見せない。あきらめているけど、ほかの人たちには見せない。
ただ明るく、エールをおごり、会話を楽しむ。困っている人の話を聞いて、自分の意見を言って、励ます。

ライフォス神官が実は少し苦手
ライフォス神官に会うと一瞬だけ顔が真顔になる。
あれほど祈ったのに、どれだけ願ったのに、神はシシラシラに声をかけてくれなかった。神官になる資格を得られなかったからこその嫉妬という苦手意識。
だから、ライフォス神官で、悪いことをしている人には激怒する。
暗部を自称して実行している人には普段の様子を忘れてにらみつける。
「他人の平和をぶち壊してご満悦しているくせにライフォス様の声を聴いたなど嘘をつくな！　この外道！！」

とはいえ、殺し屋などの職に対して怒りを持っているわけではなく、ライフォス神官の部分が地雷。
殺し屋も、必要な職の一つ。だから仕方ない。……でもその職は、命を懸ける職だからこそ正当な報酬とともにあるべき。

魔域や魔神に対する反応も、仲良くできないなら仕方ないから殺すしかない魔域を放置しても、ほかの人が不幸になるだけ、ならいっそ自分達の手で葬るのだ

ライフォス神官の母と鍛冶師の父の間に生まれる。弟が一人。妹が一人
小さな村に生まれ
鍛冶師の仕事も、武器や防具を作るのも大好きだった。父には才能がないといわれ、笑われたけど、趣味として。少しでもその仕事にかかわれるように、商売を手伝ったりもした。冒険者になる気はなかった。
母の話が好きだった。神ライフォスが言った言葉。そして母の願い『蛮族と人族が手を取り合い、平和な世界』その夢を、自分も叶えたいと思い続けた。
母は武器を持たない人だった。平和を願うなら、武器を向けることはいけないことだと。……防具は父親の作ったものをきちんと装備しつつも。
ある日、母は死んだ。平和を願い、蛮族たちにも話を聞いてもらおうとして、降伏したふりをした蛮族に殺されて。
手を取り合うなど不可能だった。やつらは母の亡骸をあざ笑った。それは、町の他の人たちも同様だった。
それから父はおかしくなった。武器を大量に作り、私たちにも武器を作らせ、笑いながらそれを試し切りしていった。
父は母を溺愛していた。だからこそ、村の人たちが母を嗤ったことを許せなかった。
だから壊れていった。武器を作りつづけた。大量に、大量に。
そしてある日、殺人が起こった。それは父が作った武器で行われた。
だがその時父にはアリバイがあった。犯行現場より遠い酒場で二人に食事をさせて自分は飲んでいたからだ
結局的にそれは父から武器を買ったものだという風に決められたが……その間にも、何人も何人も殺されていく。
人々は疑心暗鬼になった。誰もその存在がわからなかったからだ。
そのすべてに父は武器を売り、また襲ってきた人は返り討ちにした。
その辺の記憶は、朧気で、なんとなく、すべてを思い出したら、笑えなくなっているのだということはシシラシラには分かる。
ただ気が付いたら、シシラシラは襲ってきた人を父からもらった剣で首をはねていた。
……彼女に、商才も、鍛冶師への才能もなかった。あったのは人を殺す……戦闘技術だ。
彼女は殺し合いになった人すべてと戦った。話し合おうとした人は皆問答無用で殺された。
結果、彼女は大量の村人を殺し、そして……弟に致命傷を与えた父親さえも切り伏せた。
たった一人生き残った彼女は、絶望するが、弟が最後に起こした奇跡を見る。
弟は、対話で魔神の心を動かしていた。
共に弟の最期を見送った魔神と会話し、彼女は母の友人を名乗る師匠とともに歩き出す。
……村人を大量に殺したことによる経験が、魔法や騎乗技術になりつつも
師匠と別れ、やってきたのはギルドシティ・ウェンリッドという辺境の町であった。

……信心深く、祈ってきた。村での殺し合いが始まったときにも、祈り続けた。
それでも、ライフォス神はシシラシラに声を届けない。