かつては貴族だった。なぜ今冒険者をしているのか。貴族だった家は崩壊したからだ。その理由は一つ。それこそ敵対する者に関りがあるが。

父親は旅に出ていた。長旅だった。しかし帰った時には変わり果てていた。挙句、家族も私以外、父のように染まってしまった。

貴族から没落した理由、父を毛嫌いする理由。それらすべては奈落教にあった。父が奈落教に落とされ、魔神を信仰するようになり、家に戻った。戻り、時期に母、使いの者、親戚……皆落ちた。私は染まるのが嫌だった、それだけだ。

彼女が召異魔法を扱う理由は簡単。魔神には魔神を持って向き合うべきだと。奴らの崇拝する魔神を、目の前で縛り、抑えつけ、従わせるのみだ。……これが私なりの抗いだ。

真っ黒な箱、四角い無機質な箱に見える。その正体は彼女の封入具。魔神を閉じ込め、縛り、自分が許したときのみ姿を現せられる象徴。「私の許しを得ず、勝手な行動をするな！醜き愚弄がっ！」魔神に対しての当たりは強い。