ギルドシティ・ウェンリッド

ゴブリンレイドリーダー - ギルドシティ・ウェンリッド
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ゴブリンレイドリーダー

分類:蛮族
知能
人間並み
知覚
五感(暗視)
反応
敵対的
穢れ
3
言語
汎用蛮族語、妖魔語
生息地
森、山、洞窟
知名度/弱点値
13/16
弱点
魔法ダメージ+2点
先制値
15
移動速度
15/-
生命抵抗力
8 (15)
精神抵抗力
7 (14)
攻撃方法(部位) 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
武器 7 (14) 2d+6 7 (14) 6 39 16

特殊能力

略奪者の嗅覚

 スカウト観察判定に属する判定を、基準値8で行うことが可能です。

熱中を煽る/任意

「射程/形状:2(30m)/起点指定」で「対象:1体」に効果を与えます。この魔物自身よりレベルの低い「分類:蛮族」のキャラクターに対してのみ効果を持ちます。この効果を使用するには、MPを「3」点消費しなければなりません。
 対象は、あらゆる行為判定に+2のボーナス修正を得、それが発生させるあらゆる物理ダメージ、魔法ダメージが+2点されます。
 この効果は達成値15の精神効果属性として扱い、3分(18ラウンド)の間、持続します。ただし、対象が自発的にMPを消費する行動(魔法の行使など)を行った場合、その行動の解決直後に自動的に解除されます。このMP消費行動による自動解除以外で、対象は、自らの意思でこの効果を解除することはできません。
 効果が持続している間、対象は自身の手番を迎えるたび、そのタイミングで「3」点の確定ダメージをHPに受けなければなりません。

リーダーのプライド

 戦場に自身よりレベルの低い「分類:蛮族」のキャラクターが1体でもいる限り、自身が行うあらゆる行為判定に+1のボーナス修正を得ます。

ゴージャスな集団

 この魔物と同じ陣営にある、この魔物以外のすべての「分類:蛮族」のキャラクターは、その戦利品に「自動:宝石(150G/金A)」が追加されます。

戦利品

自動
宝石(500G/金A)
2~8
財宝(200G/金白A)x1d
9~12
豪華な装飾品(500G/金白A)x1d
13~
きらびやかな首飾り(2,000G/金白S)x1d

解説

概要

 徒党を組み、財宝を求めて荒し回るゴブリン集団を率いるリーダーです。
 血筋としてはゴブリンロード(⇒『BM』103頁)と同じくゴブリンたちの王族ですが、せいぜいが十数体までの集団を引き連れて部族から離れ、その小集団の長として振る舞っています。貪欲であり、物欲の赴くままに金銀財宝を求めてうろつき廻り、略奪行為に及んでいます。
 貴金属や宝石を使った装飾品で全身を飾り立てています。中には魔法の物品を常備し、使用している者もいます。

外見的特徴

 先に述べたように、全身を装飾品で覆っています。配下たちも、全身をというほどではないものの通常の妖魔には不相応なレベルで身を着飾っており、その特異性は明らかです。
 身体的には零度リーダーは、ゴブリン集団の中でも目立つ部分はありません。ですが、装飾品の数は圧倒的で、見間違えることはないでしょう。なお、美的な価値観は人族のそれとは大きく異なり、ひたすら下品とも見えるところです。しかし、彼らからしてみれば、人族の方こそがセンスについてこられていないのかもしれません。
 レイドリーダーの性別は雄雌どちらもありえます。外見的特徴も、それに沿っています。

生体/生息地

 配下を引き連れ、放浪を続けています。配下はゴブリンがほとんどですが、稀にその他の下級の妖魔(⇒『ML』52頁)が加わっていることもあります。その戦意を極端に上げる煽動の術にたけており、配下には疲労を顧みない作業を強いることができます。
 僻地で人族の集落を襲い、何もかもを奪い去っていく所業が目立ちます。略奪は執拗で、それこそ1枚のガメル銀貨も残さぬとばかりに、漁り尽くしていきます。
 反抗する者には容赦せず、また、命乞いにも応じることはありませんが(死体から剥ぎ取るのが一番取りっぱぐれがありません)、略奪を中心に考えるので、遠くに逃げ去ったものを追いかけてまで殺そうとはしません。一方で、前途の通り、財宝を求めてひたすらその場を漁り続けるので、隠れてやり過ごそうとするのは悪手です。いずれ発見されて、命を奪われることになるでしょう。レイドリーダーは勘が鋭く、高い探索能力を持っているので、一介の小集落が用意している秘密の隠れ場所などは簡単に見つけてしまいます。彼らの襲撃から生存しうるのは、いち早く逃げ出したものだけであり、ごく少数の例しかありません。
 こうした行いは頻繁の行われるものの、レイドリーダーの願望を満足させるものではありません。彼らは、財宝を求めて止まず、その欲望は人族が村にためこんでいる程度で満たされることはありません。ですが、自身とその率いる戦力がより大きな人族の共同体を攻撃するには不足であることもわきまえています。
 レイドリーダーが真に求めるのは、古代の遺物が眠る遺跡や“魔剣の迷宮”です。そうした場所を発見すれば、後先考えずに突入し、一部の配下を罠の贄や魔物の囮にすることを厭わず、そこに眠っているであろう財宝を求めて回ります。そうした場所で冒険者と遭遇することがあれば、邪魔者とみなし、全力で排除に向かってきます。

戦い方/危険度

 先手を取って配下をごっそり「熱中を煽る」によって強化、そのまま一気に押し切るという身も蓋もない力押しが基本戦術です。
 単純な戦法ではあるのですが、2レベルのゴブリンたちが4レベルの近い戦闘力を持つことにもなり、対処できなければ非常に危険です。冒険者パーティ自体が、先手を取って相手を叩くことしか考えていない構成の場合、いいように押しつぶされることすらありえます。
 この戦法の弱点は持続力に欠けることです。何もなくてもゴブリンであれば、6ラウンド後には自滅してしまいます。途中に小さくともダメージを与えられれば、活動限界はせいぜいが4ラウンドでしょう。それを念頭に防御と回復を怠らず、丁寧に対処するようにします。攻撃時に大きなダメージは不要です。
 攻撃的な魔法使いが紛れていた場合、魔法の危険度も一段高くなります。ですが、「熱中を煽る」で魔法使いを強化しながら戦うにはレイドリーダー自身のMPが心許なく、そうそう何度も達成値の高い魔法が飛んでくることにはなりませんので、慌てず対応していきましょう。
 神聖魔法などでHP回復を行える能力を持つ魔物が混ざっていたら、それは大変危険です。最優先で対処してください。それが後衛に控えて前に出てこないのなら、PC側は前衛戦士が投擲攻撃を行うことも視野に入れるべきです。

過去の事件

 とある冒険者たちとの遭遇が、古い記録に残されています。
 その冒険者たちは、“魔剣の迷宮”に挑んでいました。その道中、彼らは殆ど危険に遭遇することはありませんでした。魔物たちは死骸となり転がり、罠はことごとくが無力化されていました。一方で、見つけた宝物庫には、蓋の開け放たれた空っぽの宝箱しかありませんでした。何かが先に入り、財宝漁りを進めていたのは明らかです。ギルドを通じた情報であり、冒険者同士の仁義から考えて他の冒険者であるはずはありません。何より、罠のひとつにかかって死体を晒していたゴブリンが、先行者が蛮族であることを示していました。魔物やそのゴブリンたちの死体のさまから、蛮族たちの侵入は、さほど前のことではなく、まだ迷宮内に留まっている可能性も十分でした。
 そして、奥へ進んだ冒険者たちは、宝物を漁り終えた蛮族と遭遇します。ほとんどがゴブリンからなるその集団は金銀宝石で派手に身を飾っていました。迷宮で得た財宝をそのまま着飾ったのでしょう。
 冒険者たちは、ゴブリンどもに財宝を持ち帰らせることは無いと、準備もそこそこに、即座に襲いかかりました。しかしそれは、相手を侮る軽率な行動でした。レイドリーダーの檄で集中力を引き上げられたゴブリンの集団は、通常をはるかに上回る戦闘力を発揮し、冒険者たちを圧倒したのです。
 生き延びたのは、瞬時に瓦解した前線の仲間を見捨てて、後も振り返らずに逃亡したただ一人でした。彼の証言からレイドリーダーの存在とその危険が知られるようになりました。
 そしてまた、どんなに簡単に見えようとも「結局、おいしそうな話には裏があるのだ」という教訓が、このエピソードとともに今も伝えられています。

製作者:シーラ

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